医療崩壊(いりょうほうかい)とは、医療安全に対する過度な社会的要求や医療への過度な期待、医療費抑制政策などを背景とした、医師の士気の低下、防衛医療の増加、病院経営の悪化などにより、安定的・継続的な医療提供体制が成り立たなくなる、ことです。

つまりCOVID-19 (新型コロナ感染症)による医療崩壊とは、COVID-19 による治療に人手や時間を取られるために、本来であれば助けられたであろう命を助けられなくなることです。

医療崩壊について、私は麻酔科医なので麻酔科医の視点からお伝えしようと思います。

麻酔科医は、手術中の患者さんの血圧や呼吸状態を手術をするために適切な状態に保ち、手術室の中で患者さんの命を守っています。

全身麻酔を行う前に麻酔の処置として患者さんの気管に管を入れる「挿管」という作業を行います。

また、手術が終了した後は、管を抜く「抜管」という作業を行います。

挿管時は、患者さんの口を開け喉の奥を覗きこみながら行い、また、管を気管から抜く抜管時は患者さんが咳き込む場合がほとんどです。

では、この時にもし患者さんが、COVID-19感染者だとしたらどうでしょうか?

麻酔医や、さらには挿管・抜管の介助をしてくれるナースにもCOVID-19 に晒され、場合によっては手術室に蔓延する可能性もあり、病院は院内感染と常に戦っています。

また、経営の面でお話をしますと、COVID-19の感染拡大による外科手術の減少もあり、病院収入が減ります。

結果として、病院経営の悪化による病院の閉鎖のため、今までなら助かっていたかもしれない命が助からなくなってしまいます。

まさに医療崩壊です。

そして、最後に、ICUや救急科にもたくさんの麻酔科医が働いています。

例えば、心肺停止の患者さんが運ばれてきたら、今までなら心肺蘇生を行うために迷うことなく胸骨圧迫をしていましたが、胸骨圧迫による呼気にCOVID-19 が含まれていたらどうでしょうか?この場合も心肺再開してからは挿管をする可能性は高いのですが、挿管のスペシャリストである麻酔科医の助けが必要なことが多くあります。

以上のように医療従事者は戦々恐々としながら、現場で働いています。

今は内科だけでなく、様々な科の医師もCOVID-19の診察や治療にあたっています。

ですから、必要な医療を必要な方が受けられるために、今はSTAY HOMEが重要です。

医療崩壊を起こさないためにも、そして自分や大切な方のためにも Stay Home&Social Distancing をお願いいたします。

 

えがおクリニック

院長 池田衣里